<p> バングラデシュは、かつては世界最貧国とまで言われていましたが、近年は急速な経済成長とともに所得水準が上昇し貧困率も減少しています。バングラデシュ経済は、2018/2019年度(2018年7月~2019年6月)のGDP成長率が8.15%で過去最高値が見込まれるなど、勢いづいている。この流れの中、政府は成長に向けた目標を打ち立てているが、持続的な発展のためには産業の多角化、貿易円滑化などの課題も多い。</p><p> ① チャイナプラス 1 の有力候補として、また、労働集約型産業の生産拠点の筆頭候補として、バングラデシュがその受け皿となるべき理由は沢山あるが、同国を取り巻く環境が全てバラ色という訳ではない。先ず、他の多くの新興国が共通に抱える課題ではあるが、同国のインフラの脆弱性が外資進出上のネックとなり得る。たとえば、現地ではミャンマーよりは少しましとの評価も聞かれたが、それでも日常的に停電が発生する状況に変わりはない。事業の継続性を担保するため、当地に進出する製造業は自家発電設備を持たざるを得なくなっている。また、停電による機械設備の停止が、商品の品質に悪影響を及ぼすのを防ぐため、100%自家発電としている企業も一定程度あるようである。これらは当然ながら、企業にとってコスト増の要因となる。道路事情も深刻だ。筆者は現地で、車が 30 分間ほとんど動かないという程の凄まじい交通渋滞に巻き込まれたが、朝夕のピークアワー時ではごくごく普通の体験のようである。首都ダッカでは、同国初となる都市鉄道の建設も計画されているが、供用開始は数年後になると言われている。都市化に伴う人口の増加や外資の進出は今後も続き、街を走る車の数も増勢を維持すると見込まれる状況下、しばらくは道路事情の改善は期待できないと考えた方が良いだろう。<br></p><p> ② バングラデシュの悪しき文化の象徴とも言われる「ハルタル」の存在は、外資の進出を思い止まらせる要因となり得る。当地のハルタルは、一般にゼネストと解説されることが多いが、政権与党に対する政治的な意図をもった街頭での抗議活動と言い換えると分かり易い。同国では 5 年毎に総選挙が行われ、政権交代が頻繁に起きる民主国家であるが、野党主導のハルタルが選挙前などに多発する。ひとたびハルタルが宣言されると、街中の商店やガソリンスタンドが軒並み閉まってしまうなど、市民生活やビジネスに直接的な影響がでる。平和裏に抗議活動が展開されるのであればまだ良いが、通常は暴力を伴ったイベントと化し、街の治安が一気に悪化するから厄介である。<br></p><p> ③ 進出しようにも適当な工業団地がないという問題が発生している。実際、単独で工場を作ろうと検討していた会社が、工業団地に空きがないため、土地を持っているローカル企業との合弁に切り替えて進出を果たした例などが出ているようである。インドなども同様であるが、当地では土地の権利関係が複雑なため、工業団地以外の場所にまとまった土地を確保するのも難しい。<br></p><p> ④ 政府の中長期戦略の欠如、あるいは不透明な政策運営を課題として挙げる声があった。国が目指している方向が分からないと、企業としては中長期の戦略を立てづらい。また、後者の一つの例ではあるが、法律の所管や制度の運営がグレーであれば、ビジネスの効率性は期待できないというものである。同国が現在享受している特恵関税の恩恵についても、政府が 2021 年までの中所得国入りを目指す中で、いずれ無くなるだろう。これを見据えて FTA(自由貿易協定)を推進するなどの対策が必要になるが、“特恵関税ショック”を和らげるための戦略など、政府からのメッセージはまだ聞こえてこない。<br></p><p> ⑤ ジェンダーによる差別がある。歴史的あるいは社会的に規定された女性の役割への意識が残っており、これが女性の雇用機会や就学などを阻害する原因となっている。法的な整備も遅れているどころか、差別的な家族法がそのままとなっており、多くの女性が結婚後に別居または離婚をし、その後職に就けないことから貧困に追い込まれることが多い。そのため、貧困を恐れる女性は結婚生活の中で暴力などを受けても逃げられない現状を生んでいる。<br></p><p><br></p><p>#特定技能</p><p>#特定技能求人</p><p>#特定技能人材</p><p>#特定技能制度</p><p>#tokuteigino</p><p>#tokutei</p><p>#tokutei-gino</p><p>#外国人採用</p><p>#外国人求人</p>