<p>インドネシアは14000もの島々からなる赤道近くにある国です。ASEAN最大の経済規模と人口を持ち、今後の経済成長が期待される新興国の一つとして注目されています。日系企業も製造業、小売業、飲食関係など幅広く積極的に進出しているインドネシア。 そんなインドネシアの経済状況について解説します。インドネシアの大きな特徴は、世界第4位の人口です。しかも労働力人口が多く、人口ボーナス期が2035年頃まで続くという見通しになっています。面積は日本の約5倍、人口は約2倍です。多くの島からなる広大な国ですが、首都ジャカルタに人口1,000万人以上が住み、都市部に人口が密集しています。</p><p>インドネシアは世界銀行の分類で上位中所得国に位置付けられています。2020年に基準に到達し、下位中所得国から引き上げられました。ASEANの中では、一人当たりGDPがマレーシア・タイに続く5位。次にフィリピン・ベトナムが続きます。2019年に発表した目標では、2045年に一人当たりGDPが3億2,000万ルピア(約2.2万米ドル)になり、先進国入り。また、名目GDPは7兆ドルとなり、世界の5大経済国に入るという目標を掲げています。</p><p>インドネシアの産業構造は、製造業がGDPの2割、農林水産業・鉱業が2割、サービス業などの第3次産業がGDPの5割以上となっています。2010年(名目GDP、出典:インドネシア中央統計局)と比較すると、製造業がGDPに占める割合は22.0%から2.1ポイント減。農林水産業は13.9%から1.1ポイント、鉱業は10.5%から2.4ポイントと減少しています。成長しているのは建設・運輸・通信の分野です。建設業が2010年の9.1%から1.4ポイント増。運輸・通信業も7.3%から1.8ポイント増加しています。</p><p>インドネシア経済の特徴は内需中心という点にあります。マレーシアやタイなどと比べると輸出依存度が低いため、リーマンショックのときにも大きな影響を受けずに経済成長を持続しました。2019年のGDPの内訳は、民間支出が占める割合が57.9%、投資が33.8%です。輸出は18.4%で、輸入18.9%とほぼ同じ水準になっています。成長を牽引しているのは拡大する民間支出・投資です。この20年間で一人当たりGDPが約6倍に拡大。所得が増え、貧困人口が減ったことにより、個人の購買力が上がりました。世界第4位の人口と、人口の5分の1という厚みのある中間層が形成する大きな消費市場です。通貨危機以降は、民主化が定着し、為替相場やインフレ率も比較的安定した動向になっていることも、消費を支える効果を果たしています。</p><p>インドネシアは一昨年来の新型コロナ禍により深刻な景気減速に直面しました。ただし、昨年来ワクチン接種を前提に経済活動の正常化を進める「ウィズ・コロナ」戦略が採られ、感染動向の改善も追い風に人の移動は底入れするなど景気回復に繋がる動きがみられました。他方、景気回復が進む背後で石炭不足による電力供給懸念が顕在化したことで同国政府は1月に石炭禁輸の「強硬策」に動き、国際金融市場の環境変化が意識されるなかで新たなリスクが懸念されます。また、先月末以降はオミクロン株により感染動向が急変しており、今後の感染動向は依然不透明だが、人の移動は堅調に推移するなど景気拡大は続いているとみられます。</p><p>インドネシアは21年10-12月期のGDP成長率は、市場予想を上回り回復傾向を確保します。インドネシア中央統計局が2022年2月7日に発表した昨年10-12月期のGDP(国内総生産)成長率は前年同期比で5.02%増でした。市場予想の4.81%増、前期の3.51%増を上回りました。前期比ベースでは3四半期連続でプラス成長を確保しており、回復傾向です。インドネシアにおける新型コロナウイルスの新規感染者数は昨年10-12月期は1日平均500人程度と落ち着いていました。ただし足元では主にオミクロン株による感染者数が増加傾向となっています。なお、インドネシアの中央統計局が2日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)は総合CPIが前年同月比2.18%上昇し、コアCPIは1.84%上昇しました。&lt;br&gt;&lt;br&gt;&lt;br&gt;<br></p>