<p>北海道札幌市で路線バス運転手の人手不足が深刻化している。市によると、現場で働く運転手の約7割が50〜60代に集中しており、今後10年で大幅な退職が見込まれる状況にある。既に路線減便も進み、直近7年間で運行本数は約3分の2まで縮小した。</p><p>慢性的な採用難も続いており、募集をかけても応募が集まらない状態が常態化している。公共交通維持そのものが課題となる中、札幌市は新たな人材確保策を打ち出した。</p><h2>特定技能制度を活用し外国人運転手を育成</h2><p>札幌市はベトナム人10人を対象に、路線バス運転手として育成する方針を発表した。市が予算を拠出し、外国人運転手育成を行う企業へ委託する形で進められる。対象者は特定技能制度を通じて来日し、大型二種免許の取得を含めた研修を受ける。</p><p>育成後は、ジェイ・アール北海道バス、じょうてつ、北海道中央バスなど市内主要路線バス会社での就業を予定する。</p><h2>公道運転までに必要な高いハードル</h2><p>バス運転手として業務に就くには、大型二種免許の取得に加え、法令知識、接客対応、地理理解など幅広い研修が必要とされる。さらに在留資格「特定技能1号」の取得も条件となる。</p><p>日本語能力についても一定水準が求められ、日常会話に加えて複雑な指示理解が可能なレベルが必要とされる。</p><h2>国の制度拡大と他地域での先行事例</h2><p>この取り組みの背景には、国土交通省による特定技能制度の対象拡大がある。バス・タクシー分野でも外国人就労が可能となり、すでに愛知県ではインドネシア人運転手が実際に路線バスを運行している。</p><p>地方都市全体で運転手不足は共通課題となっており、札幌市の取り組みは今後のモデルケースとなる可能性がある。</p><hr><h2>2年後の実用化へ向けた準備段階</h2><p>札幌市内でベトナム人運転手が実際に公道へ出るのは約2年後とされる。育成期間を通じて日本の交通ルールや運行業務への適応を進める計画だ。</p><p>人口減少と高齢化が進む中、公共交通の維持を外国人材により補完する動きは、今後さらに広がる可能性がある。</p>