<p> スリランカの内戦終結の立役者であるラージャパクサ前大統領は、中国の援助によって港湾や空港といったインフラ建設を進めるなど、中国との関係を深めたが、2015年1月の大統領選挙で、野党候補のシリセーナ氏に敗れた。シリセーナ新大統領は、過度の中国依存を見直し、日本・インド・中国などの国々とバランスの取れた関係構築を目指している。</p><p> スリランカ経済の大きな弱点のひとつは、財政面の脆弱さである。財政赤字・公的債務残高の対GDP比率などを見ると、スリランカは、アジア諸国の中でもかなり高く、財政状態の悪さが目立つ。これは、スリランカの経済運営が社会主義的な色彩が濃く、国有企業を経済活動の中心に据えるなど、経済への国家の介入が大きかったため、財政支出過多となり財政赤字が膨らんだことが主因と言える。</p><p> スリランカ経済のもうひとつの大きな弱点は、対外部門の脆弱さである。スリランカは、今まで、福祉や分配を重視する社会主義的な経済運営を続けてきており、東アジア諸国のような外資導入・輸出拡大による経済高成長を指向したことがない。このため、スリランカは、輸出品の付加価値が低く、貿易収支は赤字続きで、経常赤字が慢性化している。一方、スリランカの外貨準備は、内戦終結後の資本流入拡大などによって一時的に増加したものの、足元の水準は輸入3カ月分を下回ると見られ、要注意である。こうした対外部門の脆弱さを背景に、通貨スリランカ・ルピーの為替相場は、長期的な下落トレンドを辿っている。</p><p> スリランカ経済の今後の主要な課題は、サステイナブルな経済成長を阻害する恐れがある財政赤字・経常赤字の解消に取り組むことである。経済活動への国の介入を減らし、外資導入による輸出振興を図るといった構造改革を進めることが求められよう。また、今作以下の2つの課題も注目されている。</p><ul><li>コロナで主要産業「観光」に大きな打撃:美しい自然に恵まれ、“インド洋の真珠”と称されるスリランカ。しかし、新型コロナとロシアによるウクライナ侵攻などが、この国を激変させた。&lt;br&gt;ウィクラマシンハ首相:「私たちの国(スリランカ)は現在、破産した状態です」&lt;br&gt;現地メディアによると、5日にウィクラマシンハ首相が国の破産を宣言したという。スリランカでは、新型コロナにより、主要産業であった観光が大きな打撃を受けた。さらに、ウクライナ侵攻などにより、世界的に石油・石炭といったエネルギー、食料や医薬品などが高騰し、連日のように政府に対する抗議デモが行われていた。スリランカ国立病院の医師:「燃料が得られなければ、医療サービスは完全に崩壊します。これまでに農業が崩壊したことが分かっています。教育システムも崩壊しました」。</li></ul><ul><li>“燃料供給”“観光便再開”ロシアに要請:ウィクラマシンハ首相は議会で演説し、金融支援を得るために続けているIMF(国際通貨基金)との交渉の現状について説明した。ウィクラマシンハ首相:「これまで発展途上国として議論を重ねてきたが、現在は破産した国として交渉に参加しているため、以前よりも困難で複雑になる」。さらに、「世界的な物価の上昇と通貨の下落によって、年末までにインフレ率が60%に達する見通しだ」などとして、「来年も困難に直面することになる。これが真実だ」と強調した。</li></ul><p> 株式市場への資金流入も限定的だ。7月7日以降、主要株価指数のコロンボ全株指数は、地元紙によると、新大統領選出が順調に進行するとの見通しなどから、底打ち感がみられていた。しかし、選出後も政府へのデモが続くとの見通しから、政治・経済の先行きに悲観的な見方が広がり、25日の終値は7,639.4と前週末の7,721.8から弱含みとなった。21日から下落に転じて早くも息切れ感が出ている。株式市場の年初からの下落率は39.5%と4割近く下落している。政府の10年債の金利は財政状況の不安を映して、25日に27.6%まで上昇した。金利上昇は債券安の裏返しだ。新大統領選出前の19日は28.1%だったが、選出後に金利低下は見られたものの、歴史的に高い金利水準となっている。年初からは15.7%金利が上昇している。外貨準備高も大きく減少し、政府自身がスリランカを破産国家と認めるほど、債務履行の状態にはほど遠いことから、外国人投資家は政府の支払い能力に疑念を抱き、それが金利高となって表れている。</p><p><br></p><p>#特定技能</p><p>#特定技能求人</p><p>#特定技能人材</p><p>#特定技能制度</p><p>#tokuteigino</p><p>#tokutei</p><p>#tokutei-gino</p><p>#外国人採用</p><p>#外国人求人</p>